前回に引き続いて、pxrubrica パッケージの新機能について解説する。
今回は 1.3 版における変更点についての話。
圏点できるようになった
文字列に圏点を付加するための命令 \kenten
が追加された。例えば、“{\TeX}は\kenten{アレ}
”で次の出力が得られる。
圏点機能の詳細ついては別の記事を参照されたい。
PDF 文字列できるようになった
従来の版では、hyperref パッケージを用いた場合の「PDF 文書情報の文字列」(PDF 文字列)の部分において、ルビ命令をそのまま入れることはできなかった(\texorpdfstring
の介在が必要だった)。
% pLaTeX文書, 面倒なのでbxjsartile \documentclass[platex,dvipdfmx,ja=standard]{bxjsarticle} \usepackage{pxrubrica} \usepackage[colorlinks]{hyperref} \begin{document} \section{\ruby[-:]{\TeX}{アレ}\ruby{言語}{げん|ご}、ダメゼッタイ} \end{document}
これをコンパイルすると次のような警告が発生し、生成される PDF 文書のしおりの内容が残念なことになっていた。
Package hyperref Warning: Token not allowed in a PDF string (PDFDocEncoding): (hyperref) removing `\begingroup' on input line 6.
新版では、PDF 文字列において、ルビ命令は「親文字のみを出力する」動作に切り替わる。同様に圏点命令も「親文字のみを出力する」動作になる。このため、PDF 文字列と組版結果の両方がマトモになる。
% pLaTeX文書 \documentclass[platex,dvipdfmx,ja=standard]{bxjsarticle} \usepackage{pxrubrica} \usepackage[colorlinks]{hyperref} \begin{document} \section{\ruby[-:]{\TeX}{アレ}\ruby{言語}{げん|ご}、\kenten{ダメゼッタイ}} \end{document}