jfmutil パッケージの新しい版をリリースした。
- Package jfmutil (CTAN) 1.1.0 版。
TeX Live および W32TeX には既に反映されている。
いや、そもそも jfmutil って何?
jfmutil パッケージは jfmutil
コマンドを提供する。だから TeX Live の最新版がインストールされている状態で jfmutil というコマンドを実行すると、次のようなヘルプ出力が得られる。
This is jfmutil v1.1.0 <2017/09/16> by 'ZR'. [ZRTeXtor library v1.4.0 <2017/07/17> by 'ZR'] * ZVP Conversion Usage: jfmutil vf2zvp0 [<options>] <in.vf> [<out.zvp0>] jfmutil zvp02vf [<options>] <in.zvp0> [<out.vf>] jfmutil vf2zvp [<options>] <in.vf> [<in.tfm> <out.zvp>] jfmutil zvp2vf [<options>] <in.zvp> [<out.vf> <out.tfm>] jfmutil zpl2tfm [<options>] <in.zvp0> [<out.vf>] ...(略)
で、この jfmutil コマンドは何かというと、要するに
pxutil コマンドとほとんど同じもの
である。PXutil パッケージは TeX Live や W32TeX に入っていないので、自分でインストールする必要があった。しかし今では、pxutil を使いたいという場合は、代わりに jfmutil コマンドを使えばよい、ということである。
※現状では、GitHub のレポジトリは PXutil パッケージの下にぶら下がっている形になっている。
jfmutil と pxutil の間の違い
- pxutil は ZRTeXtor モジュールに依存していて、これを別にインストールする必要がある。これに対して、jfmutil の方は jfmutil.pl ファイルだけで完結していて単体で動作する。CTAN に収録する場合に「ややこしいファイル構成を避けたい」と思って派生版を作ったわけである。
- pxutil には設定ファイル(pxutil.cfg)が存在するが、jfmutil には無い。パラメタ値は全て既定値が使われる。
- ただし、漢字コード設定については、pxutil とは異なり、外部・内部ともに“無効”( none )を指定している。すなわち、既定で
-E
オプションが指定されたのと同等になる。
※なお、pxutil/jfmutil の 1.0.0 版以降は、前の版(0.6.3 版)に比べて大幅に速度改善が行われている。
そして、新しい jfmutil の話
jfmutil の 1.1.0 版では新たに
pxcopyfont と同じことができるようになった。
つまり、「TeX の仮想フォント(VF・TFM ファイルの組)を別名で複製する」機能が追加された。
jfmutil で pxcopyfont する話
例えば、pxcopyfont パッケージの解説記事に冒頭にある、次の図のような複製を行いたいとする。
pxcopyfont を使うと、次のようにできる。(>
はプロンプト)
> pxcopyfont upjisr-h foo-r-jy2 r-foo-r-jy2 r-foo-r-jy2x
これと同じことを、jfmutil を使って、次のようにできる。引数の書き方は pxcopyfont と全く同じである。
> jfmutil vfcopy upjisr-h foo-r-jy2 r-foo-r-jy2 r-foo-r-jy2x jfmutil: number of base TFMs in 'upjisr-h': 2 jfmutil: id=0: uprml-h: r-foo-r-jy2 jfmutil: id=2: upjisr-hq: r-foo-r-jy2x
pxcopyfont のアレを jfmutil でやる
なお、pxcopyfont は引数が 1 つだけ(入力 VF しかない)の場合、その VF の参照 TFM の一覧を出力するという動作になる。
> pxcopyfont upjisr-h VF 'upjisr-h' refers to: 000:uprml-h 002:upjisr-hq
この機能は、jfmutil では別のサブコマンドで利用できる。jfmutil vfcopy
ではなくて、jfmutil vfinfo
として実行する。(出力形式は少し異なる。)
> jfmutil vfinfo upjisr-h 0=uprml-h 2=upjisr-hq
というわけで
イマドキの TeX Live では、pxutil だけでなくて pxcopyfont もできる!