TeX Live 2018 では某 ZR 氏のパッケージも新しくなっている。今回は、bxtexlogo パッケージの話。
- CTAN package: bxtexlogo 0.4 版。
アレをロゴできる話
今回の改版の追加機能で、最も特筆すべきなのは、やはりコレであろう。
(↑サンプル文書の抜粋)
つまり、LaTeX で SATySFi できる。
\documentclass[uplatex,a4paper]{jsarticle} \usepackage{bxtexlogo}% ロゴしたい! \bxtexlogoimport{SATySFi}% SATySFiロゴしたい!! \begin{document} 何れ{\LaTeX}か{\SATySFi}。 \end{document}
もちろん LaTeX なので、“アホな SATySFi”も出力できる。
\documentclass[a4paper]{article} \usepackage{bxtexlogo} \bxtexlogoimport{SATySFi} \usepackage{type1cm} % フォントをアホにする \newcommand*{\textAho}[1]{{\usefont{OT1}{cmfr}{m}{it}\LARGE#1}} \begin{document} Word! {\TeX}! \textAho{\SATySFi!!} \end{document}
蛇足
ZR 氏パッケージマニアの皆さんにはご存知だと思うが、実は SATySFi ロゴは以前の 0.3 版で既に使用可能になっている。しかしその時は、マニュアルにもサンプルにも載っていない“隠しコマンド”の扱いであった。今年の 2 月に SATySFi がリリースされて名称が“(仮)”でなくなったため、正式な機能としてサンプルに掲載されたわけである。
SATySFi 以外
他の追加ロゴはこんな感じ。フツーである。((\DVIPDFMx
は大昔に使われていた dvipdfmx のロゴ。現在の公式のドキュメントでは単純に“dvipdfmx”と表記されている。))
TikZ の k のアレ
TikZ の“ロゴ表記”では k をイタリックで書く。その実現のため、旧版の bxtexlogo の \TikZ
ロゴ命令は“k”に単純に \itshape
を適用していた。
\documentclass[a4paper]{article} \usepackage{bxtexlogo} \bxtexlogoimport{TikZ} \begin{document} {\TikZ} ist \emph{kein} Zauberspruch! \end{document}
通常はこれで十分だが、現在の(欧文)フォントファミリがイタリック(\itshape
)を持っていない((なお、「イタリック(\itshape
)はないが斜体(\slshape
)はある」というファミリの場合は、普通は \itshape
で斜体が選ばれるように代替設定が予め行われているはずである。))場合は k が直立のままとなってイマイチなことになる。LuaTeX-ja で欧文を和文と同じフォントに揃えている場合に起こりやすい。*1
% LuaLaTeX; UTF-8 \documentclass[lualatex,js=standard,a4paper]{bxjsarticle} \usepackage{luatexja-fontspec,xcolor} % みんなだいすき創英角ポップ体 \setmainjfont{HGSSoeikakupoptai} \setmainfont{HGSSoeikakupoptai} \pagecolor{cyan!10!white} \usepackage{bxtexlogo} \bxtexlogoimport{TikZ} \begin{document} 冷し\textcolor{blue}{\TikZ}はじめました \end{document}
新版では、この状況に対処するため、イタリックが効かない場合に合成斜体を適用する。従って、出力がチョットマシになることが期待できる。
*1:日本語用のフォントは通常はイタリック・斜体のシェープを持たないため。