マクロツイーター

はてダから移行した記事の表示が崩れてますが、そのうちに直せればいいのに(えっ)

あのエンジンもなくなった

以前に、W32TeX からついに LaTeX 2.09 が消え去ったことを述べたが、実はもう 1 つ消えたものがある。といってもこちらは大多数のユーザにとって無関係なものであるが……。

昨年の年末近く(2010 年 12 月)の更新で W32TeX から Omega(Ω)のエンジン(実体は omega.dll)が消滅している。また、TeX Live も 2010 から Omega を廃止している。無論、Omega に対し実質的に完全な上位互換である Aleph(א)(= Omega + e-TeX)があるので Omega ユーザにも影響はないであろう。なお、W32TeX では omegalambda(Omega 上の LaTeX である「Λ」の起動コマンド)自体は存続していて、これは Aleph を「e-TeX 拡張無効」で起動する。TeX Live 2010 では omegalambda コマンド自体も廃止された。ちなみに、Aleph 上ので動く LaTeX の名は「Lamed(ל)」(コマンド名 lamed)である。

ところで、LuaTeX は pdfTeX とともに Aleph の機能を取り込んでいる。とすると、LuaTeX が完成した際には Aleph も廃止になると考える人がいるかも知れない。しかし恐らくはそうならないと思われる。元々、LuaTeX では Omega/Aleph の機能の一部が省かれていたが、0,63 版の更新で、非常に重要な機能である ΩTP(Ω Translation Process)が廃止になった。現在知られている Omega/Aleph 用のパッケージは大部分がこの機能に依存しているので、LuaTeX では使えないことになる。つまり、LuaTeX は Aleph の代用にはならないのである。ただし、ΩTP の機能を Lua のコールバックで模倣することも可能な気もするので、もしそれが実現したら、また状況は変わるのかも知れない。