↑のような、ギリシャ語的なネタ画像を LaTeX で作りたい人のために、古典ギリシャ語の文章のための、現状での標準的な設定の例を挙げておく。もちろん、ネタでない真面目なギリシャ語の文書を作る場合にも通用する。「今ギリシャ語するなら XeLaTeX か LuaLaTeX に決まってるだろ常(ry」という意見もあるだろうが、ここでは敢えて 8 ビット欧文の LaTeX (latex または pdflatex)を使うことにする。
ギリシャ語だけの文書
以前の記事で別の話題のついでに触れたことがあるが、ここで改めて、「現状で標準的な」設定方法を示しておく。多言語設定の基本に忠実に従って「inputenc で utf8」「fontenc で LGR」「Babel でギリシャ語」を指定すればよい。フォントを変えたい人は、リンク先の記事も見ておくといいだろう。
% 文字コードは UTF-8 % (pdf)latex で組版 \documentclass[a4paper]{article} % (欧文の)UTF-8 での入力を行う \usepackage[utf8]{inputenc} % ギリシャ語出力のためLGRを有効にする \usepackage[LGR,T1]{fontenc} % Computer Modern のままT1にするならlmodernを使うべき \usepackage{lmodern} % Babel で古典ギリシャ語を基底言語に指定する \usepackage[greek]{babel} \languageattribute{greek}{polutoniko} \begin{document} Ὁ βίος βραχὺς, ἡ δὲ {\TeX}νη μακρὴ. \end{document}
「英語の文書」にギリシャ語を混ぜる
先の例では文書全体がギリシャ語だったので、Babel のオプションに greek のみを指定したが、この状態ではラテン文字を普通に入力することができない(ギリシャ文字に化けてしまう)。英語がメインの文書の中に時々ギリシャ語が現れる、という場合は、Babel のオプションに greek,english
のように複数の言語を指定する。ここで一番最後に指定したものが基底言語(その文書のメインの言語)と見做される。文書内で「言語を切り替える」場合は、\foreignlanguage
命令や otherlanguage*
環境を利用する。
% 文字コードは UTF-8 % (pdf)latex で組版 \documentclass[a4paper]{article} % この辺りは先と同じ \usepackage[utf8]{inputenc} \usepackage[LGR,T1]{fontenc} \usepackage{lmodern} % ギリシャ語も使うが、基底言語は英語 % →オプション english を最後に書く \usepackage[greek,english]{babel} \languageattribute{greek}{polutoniko} \begin{document} It's all Greek to me! % \foreignlanguage 命令で言語を切り替える \foreignlanguage{greek}{% Ὁ βίος βραχὺς, ἡ δὲ {\TeX}νη μακρὴ.} \end{document}
「日本語の文書」にギリシャ語を混ぜる
日本語とギリシャ語が混在していて、かつ日本語の組版に pTeX 系エンジンを使いたい場合。pTeX 系といっても、pLaTeX ではギリシャ語の扱いが極めて煩雑なので、現状では upLaTeX を使うのが適当であろう。「ギリシャ文字を欧文扱いに変更する(pxcjkcat)」「Babel で基底言語を日本語にする(pxbabel)」という設定を加えている。
% 文字コードは UTF-8 % uplatex で組版 \documentclass[a4paper,uplatex]{jsarticle} % ギリシャ文字を欧文扱いにする \usepackage[prefernoncjk]{pxcjkcat} % この辺りは先と同じ \usepackage[utf8]{inputenc} \usepackage[LGR,T1]{fontenc} \usepackage{lmodern} \usepackage[greek]{babel} \languageattribute{greek}{polutoniko} % 基底言語を日本語にする \usepackage[main=japanese]{pxbabel} \begin{document} \begin{flushleft} 人生は短く、{\TeX}は長し。\\ \foreignlanguage{greek}{% Ὁ βίος βραχὺς, ἡ δὲ {\TeX}νη μακρὴ.} \end{flushleft} \end{document}
余談
なるほど。つまり、TeX は(ry