“10分でわかる”のシリーズ(なのか?)の記事を書いてみて、ふと「変態的なTeX言語のプリミティブはTeX言語の参考書においてどの程度扱われているのか」ということが気になったので、チョット調べてみた。
対象とする参考書は、自分が所有している日本語の参考書の中の、次の5冊(表の見出しで用いた略称とともに示す)。
- 「作法」=藤田眞作『LaTeX2ε マクロ作法』ISBN 978-4-86401-010-8
- 「独習」=吉永徹美『独習 LaTeX2e』ISBN 978-4-7981-1536-8
- 「黄色」=ページ・エンタープライゼズ(株) 『LaTeX2e マクロ&クラス プログラミング基礎解説』ISBN 978-4-7741-1546-7
- 「緑色」1=吉永徹美『LaTeX2e マクロ&クラス プログラミング実践解説』ISBN 978-4-7741-1758-4
- 「ポケリ」=本田 知亮『LaTeX2e 標準コマンド ポケットリファレンス』ISBN 978-4-320-12165-2
対象とするプリミティブは、ツイッタァーでよく見かけるあの画像に書かれているもの。(ただしこの画像にあるプリミティブが全て変態的であるわけではない。)
何を調べたのか
各プリミティブについて、まず「本の索引2にそのプリミティブが載っているか」を調べて、載っている場合は、そこで参照しているページの全てについて、「そのページ(の近辺)にプリミティブの定義(規則)が記述されているか」を調べることにより、「本のどこかにプリミティブの定義が載っているか否か」を判断した。さらに「定義が載っている」場合は「その記述が(TeX言語のフツーの学習者にとって)十分であるか否か」を自分の主観で評価した。
調べた結果
- ◎:プリミティブの十分な定義が載っている。
- 〇:プリミティブの定義が載っている。
- △:プリミティブへの言及はあるが定義は載っていない(既知扱いの場合もある)。
- 無印:(少なくとも索引では)プリミティブへの言及がない。
プリミティブ | 独習 | 作法 | 黄色 | 緑色 | ポケリ |
---|---|---|---|---|---|
\afterassignment |
◎ | ◎ | △ | ||
\aftergroup |
◎ | △ | |||
\catcode |
◎ | 〇 | ◎ | ◎ | |
\csname |
◎ | 〇 | ◎ | △ | 〇 |
\expandafter |
◎ | △ | ◎ | ||
\fi |
◎ | 〇 | |||
\futurelet |
◎ | ◎ | ◎ | ◎ | △ |
\ifvoid |
◎ | ◎ | |||
\meaning |
◎ | △ | ◎ | 〇 | |
\parshape |
◎ | △ | ◎ | ||
\prevdepth |
◎ | ◎ | ◎ | ||
\spacefactor |
△ | ◎ | |||
\vadjust |
〇 | 〇 | |||
\xdef |
◎ | 〇 | ◎ | 〇 |
まとめ
変態的プリミティブは「TeX言語の参考書を1つマスターしたような学習者でも知らない」ということが起こりうるため、「愚直な解説記事を書く」ことにも意味がありそう。