「美文書」の Babel の話に色々とツッコミを入れるついでに、Babel なネタをいくつか紹介しておく。
既に安田さんが指摘しているように、OT2 エンコーディングを使用していると、\Alph{}
、\alph
によるカウンタ表示のラテン文字が ASCII 翻字を施した結果のキリル文字に化けてしまう。
\documentclass[a4paper]{article} \usepackage[OT2,T1]{fontenc} \usepackage[russian]{babel} \begin{document} \renewcommand{\theenumi}{\Alph{enumi}} % ラベルを \Alph に変更 \begin{enumerate} \item Odin. \item Dva. \item Tri. \end{enumerate} \end{document}
この問題について、奇妙な対処療法がある。それは「X2 エンコーディングを有効にしておく」ということである。ただし、以前に述べたとおり、「既定のキリル文字用エンコーディング」は OT2 になって欲しいので、fontenc のオプションでX2 を OT2 の前に入れておく、すなわち、fontenc の読込の行を
\usepackage[X2,OT2,T1]{fontenc}
に変更する。*1これだけで文字化けが解消される。
何故これで上手くいくかというと、「OT2 はロシア人に無視されている*2が、同じく『\Alph
が化ける』という性質を持つ X2 についてはちゃんと対処されているから」という事情があるからである。