マクロツイーター

はてダから移行した記事の表示が崩れてますが、そのうちに直せればいいのに(えっ)

非プログラミング者のためのTypst公式ドキュメント攻略ガイド

いまTypstの学習を始めるとなると、一番重要な情報源となるのは何といってもTypstの公式のドキュメントでしょう。現状ではユーザによる解説記事はまだ絶対数が少なく、そこから“正解”の情報を導き出すのは極めて困難だからです。しかしこの公式ドキュメントにも弱点があります。

一つは「Typstの機能の全てを網羅しているため単純に量が多すぎる」ということです。チュートリアルから読み始めればよいことは明らかだとしても、それだけでは(特に日本語の文書を作成するには)不十分なので、他の部分も読む必要が生じます。そのときにTypstの機能全体の概略がつかめていないと「どこを見ればいいのか」が判断できません。

もう一つ、特に非プログラミング者にとって深刻な問題は「一部のページを読むのにプログラミングの知識1が必要になる」ということです。Typstのプログラミング言語は「容易に学習できること」に重点をおいて設計されている(雰囲気としてはPythonに近いです)のですが、そうはいってもプログラミングの概念を含んだ解説を非プログラミング者が読んで理解するのはかなり辛いことになるでしょう。

※Typstは「非プログラミング者であっても簡単なレイアウトの調整ができる」ように設計されています。将来には“複雑な調整”(特に和文文書に対するサポート)については「プログラミングできる人が作ったパッケージ」を利用して対応する態勢ができるかもしれませんが、一方で「簡単なレイアウトの調整」については「文書作成者がやるべきこと」という扱いになりそうです。(少なくとも現状ではそうです。)

これらの弱点に対処するため、非プログラミング者の視点にたって「Typstをこれから学ぶときに前もって(あるいは早い段階に)読んでおくべき公式ドキュメントのページ」を厳選してみました。本記事ではその一覧を紹介します。

Reference以外

  • Overview
    表紙です。1ページの短い内容なので読みましょう。

  • Tutorial
    文書作成者向けの4ページのチュートリアルです。必ず読みましょう。

  • Guides
    特定のユーザ層およびユースケース向けの解説です。

    • Guide for LaTeX users
      LaTeX経験者の人はぜひ読んでおきましょう。

    • Page setup guide
      日本語文書を作成したい人なら、現状ではページ設定の知識は必須です。ある程度の前提知識が要るので、Typstの文書(マークアップ)を作るのにある程度慣れた段階で読んでおきましょう。

Referenceの中

  • Reference
    Referenceの表紙です。

  • Syntax
    一度目を通しておきましょう。3つのモード(マークアップ、数式、コード)の違いについては最初に理解しておいた方がよいでしょう。コードモード(code mode)の文法は非プログラミング者には不要なのでスキップしてかまいません。マークアップと数式の文法は、最初は「どんなものがあるのか」をざっと把握しておけばよいでしょう。後で必要に応じて何度も見返すことになるはずです。

  • Styling
    先述の“Page setup guide”を読む段階になったときに一緒に読むといいでしょう。

    ※ただし「show rule」については「show-set rule」だけ把握しておけば十分です。一般のshow ruleはプログラミングが関わることが多いので、単に「そういう文法もある」とだけ覚えておきましょう。

  • Scripting
    これはプログラミング言語のガチな解説であるため、非プログラミング者が読んで理解するのはかなり困難でしょう。しかしこのページの中には「非プログラミング者でも知っておくべき内容」も含まれています。「Styling」を読見終わったなら、ついでに以下の節は読んでおきましょう。

    • Expressions
      #とは結局何なのか」についての解説です。
    • Modules
      ファイル分割やパッケージ読込の際に必要になります。
    • Packages
      パッケージ読込の際に必要になります。
  • Math
    数式の文法の解説です。数式を書きたいなら必ず読みましょう。
  • Symbols
    簡易記法(テキスト中の---や数式中の<=など)の一覧があります。

“死角”コーナー

入門段階で「解説がどこにあるのか判りにくい」機能の説明のページを集めてみました。

  • par(要素)
    段落に関すパラメタです。
  • text(要素)
    テキスト属性(サイズ・フォント・色など)に関するパラメタです。
  • equation(要素)
    $~$math.equation要素の簡易構文なので、数式自体のパラメタについて知りたい場合はこれを読みましょう。
  • sym(モジュール)
    数式中の“記号の名前”(timessubset.eqなど)の一覧です。
  • styles
    variants
    数式中の書体指定(boldcalなど)の解説です。
  • page(要素) ページレイアウトに関するパラメタです。
  • length(型)
    ratio(型)
    relative(型)
    fraction(型)
    長さとして使われる値です。

まとめ

Typstは”プログラミングしない人”でもある程度使いこなせるので、非プログラミング者な人もドンドンTypstしましょう!😃


  1. 特定のプログラミング言語の知識ではなく、“いかにしてプログラミングをするのか”という考え方に関する知識です。“Typstのプログラミング言語”についてはもちろん公式ドキュメントで解説がされています。