「TeX ユーザの集い 2011」について何か書いてみる (1)
レポートにはなってないし、かといって自分用のメモでもない。そんな何か。公式サイトにプログラムや予稿集が載ってます。
ディストリビューションラウンドテーブル
(参加者は公式サイトを参照)
グレ子ちゃんとブナ夫くん。その他諸々。以上。
何か書いてみる
- まあ、今回の集まりだけで何かが解決するということは最初から想定されてないようで。今後、オンラインでもよいので、情報集約や議論が続けられることに繋がればよさそうだ。
- しかしこういう話を聞くと、(ネイティブ)Windows が異質に思えてくる。Windows で TeX を使うという場合、誰も Windows に TeX が最初からインストールされているなんて思わないし、また Windows には標準のアプリのレポジトリ/ストアなんて概念もなくて、フリー/無償のソフトウェアは開発元から直接ダウンロードしてくるのが当たり前という文化になっている。なので、最新の W32TeX や TeX Live を自分でインストールのが当然でそれをすれば完成。この文化の違いはどこから来たのだろうか。
開会の辞
乙部 厳己(実行委員長)
何か書いてみる
- ここで述べられていたことのほとんどは実は予稿集の中に書かれている。この中でに出てくる「TeX が組版の何を抽象化し、何を実現したのか」の問いは非常に興味深い。「集い」においてこの問いを直接扱うものはなかったが、少なくともそれを考えるヒントとなる素材に満ちていたいたことは間違いない。
- 「LT 枠が埋まらない」の記事において、(ワープロは TeX の代替にならないと論じた上で)「TeX の代替となるものがあるかも知れない」という話をした。実際に、私は「TeX(拡張エンジンも含む)の代替となるもの」というテーマに興味を持っていて、だから本当に「TeX でなくて○○を使えばよいのに」という話*1をする人が現れることを微かに期待していたのである。まあ、結果がどうだったかは実際に参加した人は知っているだろう。
- プレーンテキストのマークアップ言語で書いたものから(レイアウト指定込みで)ページ付媒体(書籍)へ出力するというソフトウェアは、出版社の内部では使われているのだろうし、恐らくオープンなものもあるのだろうが、今のところ、それらは「TeX よりもマイナー」な存在に留まっているような気がする。*2こういうシステムの勢力を決定するのは、それの入力となるマークアップの勢力であろう。一度「使える」言語を身につけてしまうと、そこから他の言語へ移る動機が乏しいからである。TeX がある程度の勢力を保っているのは LaTeX というフォーマット(少なくとも特定の分野では)一定の地位を得ているからである。しかし、一度ページ付媒体の外に目を向けてみると、「一番成功しているマークアップ言語」は Web において事実上標準となっている (X)HTML であることはもはや誰にも疑いのないところであろう。EPUB が XHTML を土台にしているというのは自然な流れなのである。それゆえに、私は Web 用の文書技術((X)HTML、CSS、XSS)が書籍(電子化とは限らない)の分野で、また商業分野のみならず個人使用でも大きな勢力となる可能性を感じている。それが現実のものとなった場合、それが「TeX の代替となるもの」であることは間違いないだろう。
- という考え*3をもって、当日の会場に赴いたのであった。