マクロツイーター

はてダから移行した記事の表示が崩れてますが、そのうちに直せればいいのに(えっ)

美文書付録Iについて思うことをグダグダ書き連ねるシリーズ (2)

1 節、第 2 小節
(357ページ)
出力ファイルでは自動的に適切なアキが挿入されますが、……

「出力ファイル」→「出力」。

(359ページ)

Babel を使用するには、プリアンブル部分に

\usepackage[OT2,T1]{fontenc}
\usepackage[polutonikogreek,russian,english,french,german]{babel}

のように記述します。

複式アクセントギリシャ語の指定は現在では、

\usepackage[greek,(他言語)]{babel}
\languageattribute{greek}{polutoniko}

とすることになっている。

ドイツ語について、旧正書法のままにしているのは、新正書法だと Babel 記法("s → ß)の出番が無くなってしまうから?

ここではフォントエンコーディングに OT2 を追加指定しています。

フォントエンコーディング(および T1)については既知扱いであるのは本文(12 章)で既に解説されているからだろうが、それなら参照指示が欲しい。

(注 *9)

なお、ほかに otherlanguage 環境や \foreignlanguage 命令が用意されており、……

Babel の言語切替には次の 2 種類がある。

  • 基底言語を切り替えず入力言語のみを切り替える: \foreignlanguage 命令、otherlanguage* 環境
  • 基底言語を切り替える: \selectlanguage 命令、otherlanguage 環境

ここで「基底言語」というのは「それが何語の文章/文書か」ということである。

ロシア語の慣用句で как дважды два четыре (2×2=4のような)というのは「自明な、容易に理解できる」の意を表す。

例えば、上記の文章はロシア語のフレーズが混じっているが「日本語の文章」であると思うのが自然であろう。この場合の「日本語」が「基底言語」である。つまり、上の文章を Babel のマークアップで表そうという場合、

ロシア語の慣用句で
\foreignlanguage{russian}{как дважды два четыре}$2\times2=4$のような)
というのは「自明な、容易に理解できる」の意を表す。

のように \foreignlanguage で表す方が、

ロシア語の慣用句で
{\selectlanguage{russian}как дважды два четыре}$2\times2=4$のような)
というのは「自明な、容易に理解できる」の意を表す。

のように \selectlanguage で表すよりも(私見では)適切である。それに対して、美文書 357 ページにある例の文書では確かに「基底言語が切り替わっている」といえる(節見出しの言語が変わっている)ので、この場合は \selectlanguage で切り替えるのが適切だろう。

以上の考えを前提にすると、私は、「基底言語を変えない方式」の \foreignlanguageotherlanguage* の方が \selectlangauge よりもずっと重要な機能だと考えている。何故なら、実際に取り扱う「多言語」の文書では「基底言語」は途中で変わらないことの方が圧倒的に多いと思うからである。実際、「Babel の機能を説明するための文書」のようなものを除くと、\selectlanguage を実際に使うべき場面というのはほとんど無いのではないかとさえ思う。

なお、ここで紹介した「基底言語」の考え方には私の主観が含まれていることを注意しておく。ただ、Babel は LaTeX における多言語処理の根幹といえるパッケージなので、考え方の如何に関わらず、少なくとも \foreignlanguageotherlanguage*\selectlanguage の 3 つについてはちゃんと解説した方がよいと考える。少なくとも、前二者を使うべき場面で \selectlanguage で代用されることは是非とも避けたい。