お尋ねしたいことは、BeamerでWindowsの「メイリオ」フォントを使うための方法です。
もちろん、「メイリオ」は等幅フォントではない。そして私自身は何となく「計算機の画面向き」のフォントという印象を持っている。だからあまり「メイリオ」を(pTeX 系の)TeX で使おうという考えを持っていなかった。
しかし、スライド(Beamer)で使うとなると、割と理に適っていて、これは真面目に考える価値があると思えてきた。といっても、等幅でグリフが使えないのはどうしようもないのであるが、これまでメイリオの出力を見ている限りでは、和文に関しては「かなり等幅」であることは確かだろう。
というわけで、pTeX(つまり JIS X 0208)の範囲で「使えない」(=全角幅でない)文字を拾い上げてみた。
- ギリシャ文字(6 区)全部
- ロシア文字(キリル文字;7 区)全部
- 以下に挙げる記号*1
文字 JIS符号位置 Unicode符号値 備考 ´ 1-13 U+00B4 ¨ 1-15 U+00A8 ‾ 1-17 U+203E オーバーライン ‐ 1-30 U+2010 ★ ハイフン ‘ 1-38 U+2018 ★ 開き一重引用符 ’ 1-39 U+2019 ★ 閉じ一重引用符 “ 1-40 U+201C ★ 開き二重引用符 ” 1-41 U+201D ★ 閉じ二重引用符 ± 1-62 U+00B1 × 1-63 U+00D7 ÷ 1-64 U+00F7 ≠ 1-66 U+2260 ≦ 1-69 U+2266 ≧ 1-70 U+2267 ° 1-75 U+00B0 度記号 ′ 1-76 U+2032 分記号 ″ 1-77 U+2033 秒記号 ¢ 1-81 U+00A2 £ 1-82 U+00A3 § 1-88 U+00A7 ∈ 2-26 U+2208 ∋ 2-27 U+220B ⊆ 2-28 U+2286 ⊇ 2-29 U+2287 ⊂ 2-30 U+2282 ⊃ 2-31 U+2283 ∪ 2-32 U+222A ∩ 2-33 U+2229 ∧ 2-42 U+2227 ∨ 2-43 U+2228 ¬ 2-44 U+00AC ∠ 2-60 U+2220 ⊥ 2-61 U+22A5 ∂ 2-63 U+2202 ≡ 2-65 U+2261 ≒ 2-66 U+2252 ≪ 2-67 U+226A 開き二重山括弧 ≫ 2-68 U+226B 閉じ二重山括弧 √ 2-69 U+221A ∫ 2-73 U+222B ∬ 2-74 U+222C ¶ 2-89 U+00B6
これを見ると、ほとんどが和文で使う機会が乏しい記号であることが判るが、中には「場合により使われ得る」ものもある。特に★印を付けたものが要注意である。
*1:なお、ここで示している Unicode 符号位置は実際の dvipdfmx の動作に即したものである。具体的には、JIS の符号位置を「H」の CMap で AJ1 の CID に変換し、それを更に ToUnicode CMap(Adobe-Japan1-UCS2)で変換したものとなる。なお、この記事では upTeX は扱わなかったが、もしこれについて考える場合は、同じような変換過程(一度 AJ1 を経由する)を経る関係で、入力した文字と出力される文字が必ずしも一致しないことに注意すべきである。(ちなみに、この「AJ1 経由」をやめて入力した文字と常に同じ文字を出力するのが「Unicode 直接」(pxchfon の directunicode オプション)である。)