W32TeX の 2011/01/19 の更新で LaTeX 2.09 関係のコマンド(latex209
、platex209
、等)が全て削除された。TeX Live はそもそも当初から LaTeX 2.09 を含めていない(ライセンス関係の問題から)ので、1985 年に生まれた LaTeX 2.09 は日本の TeX 環境から姿を消していくことになるだろう(ちなみに LaTeX 2e の初版は 1994 年)。
といっても、実は現状の W32TeX の場合、latex.tex 等の LaTeX 2.09 を構成するファイル自体は残っているので、「追加のフォーマットを作成する」作業を行えば従来通り使用することは可能である。以下では latex209
と platex209
コマンドを作成する方法を述べる。
- TeX システムの設定ファイル $TEXMF/web2c/texmf.cnf の「
srcinp =
」の行の直後に次の記述を行う。
TEXINPUTS.latex209 = .;$texroot/{latex209,platex209,jlatex209,}//;$srcinp
TEXINPUTS.platex209 = .;$texroot/{platex209,jlatex209,latex209,}//;$srcinp - fmtutil の設定ファイル $TEXMF/web2c/fmtutil.cnf の任意の箇所に次の記述を行う。
platex209 ptex - --kanji-internal=sjis platex209.ini
latex209 tex - --translate-file=cp227.tcx latex209.ini - $TEXMF/tex/config 以下の任意の場所に以下のファイルを作成する。(この $TEXMF は local ツリー(texmf-local)を用いた方がよいと思う。)[latex209.ini]
\input lplain.tex
\dump
\endinput[platex209.ini]
\input plplain.tex
\dump
\endinput - 実行ファイルのディレクトリ($TEXMF/../bin)で tex.exe を latex209.exe の名前でコピー、ptex.exe を platex209.exe の名前でコピー。
この後、適当な LaTeX 2.09 文書を latex209
コマンドでコンパイルすると、初回の実行時に自動的に fmtutil が走って((具体的には「fmtutil --byfmt latex209
」。もし自動起動が行われない場合は、このコマンドを手動で実行すればよい。))フォーマットファイル(latex209.fmt)が生成され、以後普通に使うことができる(platex209
も同様)。なお、jlatex209
等も同様の手順で使用可能である。
最後に注意。LaTeX 2.09 文書を latex
コマンド(つまり LaTeX2e)でコンパイルすると、「LaTeX 2.09 互換モード」に切り替わって(運が良ければ)DVI 文書が生成される。ところがこの「LaTeX 2.09 互換モード」の出力結果は本来の LaTeX 2.09 での結果とはレイアウト等がかなり大きく異なるので、互換モードでの出力をその文書の姿だと思ってはいけない。