Adobe のフォントなアレを TeX で使う（tcadobeblank パッケージ）

先日 Adobe が公開したオープンソースの OpenType フォント「Adobe Blank」が何かと話題になっていますが……。

AdobeのBlankは何も（スペースさえも）表示しないオープンソースの代替フォント

リンク先の記事冒頭の（左上にある）画像がこのフォント「Adobe Blank」の出力のサンプルです（多分）。なかなか斬新なデザインですね。おまけに、このフォント、Unicode の全ての文字に対応しているにも関わらず、80KB にも満たないという超コンパクトな設計になっています。

こんな素晴らしいフォントだったら、当然 TeX で使ってみたいですね！

というわけで、作りました。

tcadobeblank パッケージ（GitHub/zr-tex8r）

パッケージを読み込むと、文書の基本フォント（\rmfamily、\sffamily、ttfamily 全部*1）が Adobe Blank に設定されます。

\documentclass[a4paper]{article}
\usepackage{tcadobeblank}
\begin{document}
Hello, \TeX\ fellows; my hovercraft is full of |\expandafter|'s.
\end{document}

Unicode 完全対応のフォントなので、十分活用できるように、多くの LaTeX エンコーディング（OT1／T1／TS1／LY1／QX／OT2／T2A 他*2）に対応しています。

\documentclass[a4paper]{article}
\usepackage{tcadobeblank}
\usepackage[T1,QX,T2A,OT1]{fontenc}
\usepackage[utf8]{inputenc}
\begin{document}
Mea navis volitans anguillis plena est.\par
\fontencoding{T1}\selectfont
A légpárnás hajóm tele van angolnákkal.\par
\fontencoding{QX}\selectfont
Vehicolul meu pe pernă de aer e plin cu ţipari.\par
\fontencoding{T2A}\selectfont
Мој ховеркрафт је пун јегуља.\par
\end{document}

もちろん、日本語（pLaTeX）も使えるので、その点はご心配なく。

% pLaTeX 文書
\documentclass[a4paper]{jsarticle}
\usepackage{tcadobeblank}
\begin{document}
「お客様の中に、{\TeX}芸人の方はいらっしゃいませんか。」
\end{document}

さらに、Unicode の全文字が使えるということは、数式用の記号も全て揃っているはずです。折角なので、数式にも対応させました。

% pLaTeX 文書
\documentclass[a4paper]{jsarticle}
\usepackage{tcadobeblank}
\begin{document}
{\LaTeX} を使えば、例えば、
\[
  \left( \int_0^\infty \frac{\sin x}{\sqrt x}\,\mathrm{d}x \right)^2 =
  \prod_{k=1}^\infty \frac{4k^2}{4k^2-1} \neq \frac{\pi}{2013}
\]
のような複雑な数式も容易にネタにできます。
\end{document}