マクロツイーター

はてダから移行した記事の表示が崩れてますが、そのうちに直せればいいのに(えっ)

Arial のブラックなアレを TeX で使う (1)

…できた!

% XeLaTeX 文書
\documentclass[a4paper]{articls}
\usepackage{fontspec}
\begin{document}
This is {\fontspec{Arial Black}Arial Black}, but
that is {\fontspec{Adobe Blank}Adobe Blank}.
\end{document}
(↑ xelatexコンパイルできる*1
残念ながら XeTeX でないので「書体拡張プロジェクト」する

…でもいいが、何らかの理由で、レガシーな TeX エンジンで「Arial Black」や「Times New Roman」等の Windows なフォントを使いたいという場合は、乙部氏による「書体拡張プロジェクト」のパッケージを利用するのが最も手軽な方法である。リンク先ページから「標準キット」(winttfn.lzh)を取得して、そこに含まれるファイルを以下のように配置する。*2

  • texmf/doc/TTNFSS 以下 → $TEXMF/doc/latex/TTNFSS
  • texmf/fonts 以下 → $TEXMF/fonts
  • texmf/tex 以下 → $TEXMF/tex

乙部氏のパッケージのインストールが完了すると、W32TeX の場合はそれで既に dvipdfmx と pdfTeX で(少し昔の)Windows の基本欧文書体が使用可能になっている。

\documentclass[a4paper]{article}
\usepackage[dvipdfmx]{color} % ←もちろんこれは\colorのため
\begin{document}
Here are
{\fontfamily{wa1}\mdseries Arial},
{\fontfamily{wa1}\bfseries Arial Bold},
{\fontfamily{wa1}\fontshape{bk}\mdseries Arial Black},
and
{\fontfamily{wic}\mdseries\color{red}Arial Red}.
{\small\fontfamily{wmcs}\mdseries (Not!)}
\end{document}
使用可能なフォント

テキスト書体としては、以下のものが使用可能である。「wa1」の最後の文字は数字の 1 であることに注意。((なお、全てのファミリで bx シリーズから b シリーズへの代替指定が行われているので、通常の \textbf/\bfseries で太字に切り替えることができる。))

ファミリシリーズシェープフォント名
wa1m, bn, sl, scArial
wa1mbkArial Black
wcrm, bn, sl, scCourier New
wicmn, scImpact
wmcsm, bn, scComic Sans MS
wnsm, bn, sc, slTimes New Roman
wthm, bn, scTahoma
wthm, bn, sc, slVerdana
そのパッケージのパッケージ

さらに、これらの書体を「既定」のファミリとして設定するための次のようなパッケージ(PSNFSS の times や helvet パッケージに相当する)が用意されている。

  • arial パッケージ: サンセリフ\sffamily)を Arial とし、それを既定フォントとする。
  • comicsans パッケージ: サンセリフを Comic Sans MS とし、それを既定フォントとする。
  • couriernew パッケージ: 等幅(\ttfamily)を Courier New とし、それを既定フォントとする。
  • impact パッケージ: サンセリフを Impact とし、それを既定フォントとする。
  • tahoma パッケージ: サンセリフを Tahoma とし、それを既定フォントとする。
  • timesnew パッケージ: セリフ、サンセリフ、等幅のフォントをそれぞれ Times New Roman、Arial、Courier New とする。
  • verdana パッケージ: サンセリフVerdana とし、それを既定フォントとする。
\documentclass{article}
\usepackage{timesnew}
\begin{document}
Times New Roman, {\sffamily Arial}, {\ttfamily Courier New}, but 
{\fontfamily{cmr}\selectfont I like Computer Modern!!}
\end{document}

そして、mathwns パッケージを利用すると、本文と数式*3の両方を Times new Roman に変更することができる(PSNFSS の mathptmx に相当)。

\documentclass[a4paper,fleqn]{article}
\usepackage{mathwns}
\begin{document}
This morning I had a lot of cheeseburger, but we have
\[
  \left( \int_0^\infty \frac{\sin x}{\sqrt x}\,\mathrm{d}x \right)^2 =
  \prod_{k=1}^\infty \frac{4k^2}{4k^2-1} = \frac{\pi}{2}
\]
and then I'd like to have some sushi in the evening.
\end{document}

(続いた)

*1:「Arial Black」はいいけど「Adobe Blank」を LuaTeX で使うのは避けたほうがいいかも ←本題と全然関係ないぞ

*2:bin/ 以下にあるのは dviout 用のマップファイルだが、普通に dviout をインストールした場合、該当の記述は既に行われているので、このファイルは不要である。

*3:数式部分は Times New Roman と Symbol を用い、不足分は Computer Modern で補う。