といっても、これで何事もなく終わってしまうと、熱狂的な 1TeX ファンが嘆き悲しむことになるだろう。なので、軽いネタを出しておく。
1TeX なロゴをするパッケージ
周知のとおり、1TeX は極めて画期的なフォーマットである。しかし余りに画期的過ぎるがゆえ、広く普及するには至っていない。そして、その影響は 1TeX のロゴにも表れている。TeX や LaTeX のロゴについては標準の LaTeX においてそれを出力する命令(\TeX
や \LaTeX
)が用意されている。また比較的新しいエンジンである XeTeX や LuaTeX のロゴについては metalogo や hologo などのパッケージを利用すれば出力できる。ところが、1TeX の(画期的な)ロゴについては、その知名度の低さのため、それをサポートするパッケージが存在しないのである。
この悲しむべき事態を打破するため、作ってみた。
- BXtexlogo パッケージ (GitHub:zr-tex8r)
% pdfLaTeX document \documentclass[a4paper]{article} \usepackage{bxtexlogo} \bxtexlogoimport{*,**}% 全部インポートする \begin{document} I like {\SuyahTeX}, but I like {\OneTeX} better. \end{document}
このパッケージは多くの “TeX 的”なロゴの実装を定義しているが、それを実際に使うには \bxtexlogoimport
命令により使いたいものをインポートする必要がある。ここでは引数を“*,**
”としている(2 行目)が、“*
”は「チョット有名なもの(XeTeX とか upTeX とか)全部」、“**
”は「チョット無名なもの(残念ながら 1TeX はこちらに入る)全部」を表す。これにより 1TeX のロゴを出す命令 \OneTeX
が使えるようになる。
\bxtexlogoimport
の引数には、命令の名前(\OneTeX
命令なら OneTeX
)を書いて個別のロゴ命令をインポートすることもできる。例えば次の例では「チョット有名なやつ全部と、あと \OneTeX
」をインポートしている。
% LuaLaTeX 文書; UTF-8 \documentclass[a4paper]{ltjsarticle} \usepackage{bxtexlogo} \bxtexlogoimport{*,OneTeX}% メジャーなやつと1TeXだけ \begin{document} {\upLaTeX}と{\OneTeX}をよく使っています。 この文書は{\LuaLaTeX}だけど。 \end{document}
イタリックする場合
イタリックのフォントが指定された状態で 1TeX のロゴを使う場合には注意がいる。1TeX ロゴの「1」の書体は本来は数式用のものであり、本来はイタリックや斜体がサポートされていない。このため、bxtexlogo だけを読みこんだ状態では、1TeX のロゴが非常に残念なことになってしまう。
% pdfLaTeX document \documentclass[a4paper]{article} \usepackage{bxtexlogo} \bxtexlogoimport{OneTeX}% \OneTeX したい! \begin{document} \itshape % イタリック指定 Happy {\OneTeX}ing!! \end{document}
幸いなことに bxtexlogo にはこれを補正する機能がある。graphicx パッケージが読み込まれている場合にこの補正が有効になり、1TeX の素敵なロゴを出力できるようになる。
% pdfLaTeX document \documentclass[a4paper]{article} \usepackage{graphicx} \usepackage{bxtexlogo} \bxtexlogoimport{OneTeX}% \OneTeX したい! \begin{document} \itshape % イタリック指定 Happy {\OneTeX}ing!! \end{document}