今回は、ある環境中のギリシャ文字のみを Computer Modern Bright のそれらに置き換えるので、以下のように cmbr を接頭辞を付加した cmbrletters という名前で、Computer Modern Bright の数式イタリックを場当たり的に定義しておいて、その環境中で \alpha, \beta, ... をそれぞれ \cmbralpha, \cmbrbeta, ... に置き換えてみた。
引用元記事に書かれた状況から考えると、やりたいのは「ギリシャ文字だけ」CM Bright にするのではなく、「ある一部の箇所だけ」CM Bright にすることのように思える。だとすると、math version 切替を使うのはどうだろうか。
\bright
/\unbright
: CM Bright 系統/既定系統に数式フォントのセットを切り替える。スコープは局所的。非数式モードでのみ使用可能(\boldmath
と同じ使い方((\boldmath
の実体は\mathversion{bold}
のことで、要するに math version の切替である。)))。\mathbright{<サブ数式>}
/\mathunbright{<サブ数式>}
: 引数のサブ数式を CM Bright 系統/既定系統のセットで出力する。数式モードでのみ使用可能。
ここで「CM Bright 系統」というのは cmbright パッケージ読込時に指定される数式フォントセットで、大雑把に言うと、本来セリフ系であるもの(\mathnormal
、\mathrm
等)が CM Bright、タイプライタ体(\mathtt
)が CM Typewriter Light になる。((サンセリフ系(\mathsf
)は無意味なので使わない前提。))「既定系統」というのは、その文書で bxcmbright を読み込まない場合に使われる数式フォントのセットのことで、他の数式フォントパッケージの読込があればそれに従い、なければ LaTeX 既定のセット(CM Math Italic 等)である。
\documentclass[a4paper,fleqn]{article} %\usepackage{yaclabo} \usepackage{bxcmbright} \usepackage{amstext} \newcommand\SampEq{% ax + \mathrm{by} + \mathbf{c\hat{x}} + \mathit{d\hat{y}} + \mathtt{e\tilde{x}} + \alpha_1x' + \mathrm{\beta_2y'} + \mathbf{\gamma_3z'} = 42 } \setlength{\parindent}{0pt} \begin{document} We have \[ \SampEq. \] % 既定系統 \bright However we should have had \[ \SampEq. \] % CM Bright 系統 \unbright % 一旦元に戻す Finally, we try to prove \[ % bright と unbright を混ぜる \mathrm{foo1} + \mathit{bar2} + \mathbright{\mathrm{foo3} + \mathit{bar4} + \tau\epsilon\chi = \displaystyle\sum_{\lambda\in\mathcal{D}(\mathunbright{q})} \mathunbright{q}(\lambda)} \] in vain. \end{document}